弁護士 阿野順一の労働問題相談

解雇

解雇とは雇用契約を解消する会社側からの一方的な意思表示を言います。労働者側から雇用契約の解消を求める意思表示である退職とは異なることになります。そして,解雇には整理解雇,諭旨解雇,懲戒解雇などいくつかの種類がありますが,いずれの解雇であっても会社側の意思表示による雇用契約の解消という重大な効果が生じることから,会社に認められた解雇権を行使できる場面は非常に制限されています。

解雇権を不当に行使された場合,労働者としては解雇を無効だとして未だに労働者であることを確認すること,あるいは金銭による補填として損害賠償請求を行うことが考えられます。会社側が解雇が不当であることを認めない場合,労働者は裁判所の手続きを通じて解雇が不当であることを認めてもらうことになります。その際の手続きとして,労働審判あるいは通常の訴訟や仮処分手続きを選択することができます。労働審判は期日が原則3期日で終了することが法定されているため比較的短期間で終了し,その大半が裁判官を中心として使用者側の専門家と労働者側の専門家の3人が中心となって進められる話合いにより解決しますので,イメージとしては調停に近く,柔軟な解決が図りやすいといえます。ただし事実認識に大きな食い違いがある場合,正確な事実認定をするわけでは無いので向かないことになります。

これに対して訴訟や仮処分は事実に大きな食い違いがあっても手続きを進めることができます。しかし,柔軟な解決を図ることは困難な場合も多く,事実認定も慎重に行いますので期間も長期化しやすいことになります。

どちらもメリット・デメリットがありますので,事案に応じて手続きの選択をすべきことになります。

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